太田記念美術館に、ポール・ジャクレーの展覧会を見に行った。
たまたま、学芸員の日野原健司さんによるスライド・トークが行われる日だったので、開始時間に間に合うように自宅を出発。
日野原さんはまず始めに、ジャクレーの大規模な回顧展は、地方開催や小規模なものを除くと20年前に横浜で開催されたのが最後であり、それを見た人はジャクレーを知っているが、そうでなければ、大多数の人がその名を知らないのではないかと仰った。
その通りで私は後者。「新版画」というジャンルは、2018年の夏に見た新版画展 美しき日本の風景@美術館「えき」KYOTOで初めて知ったのだけれど、それがなければ今回の展覧会に足を運ぶこともジャクレーを知ることもなかった。つくづく出会いだなあと思う。
印象に残ったのは、色彩の鮮やかさ、技巧の細やかさ、コスト度外視の贅沢な画材と手間、独特の視点による画題、自身が版元となって独自の販路を持ったことなど、いろいろあるが、あまりにも見所が多くて、会場を何周も回ってしまった。
色彩や画題は江戸期の浮世絵とは大きく異なっているけど、木版画とは不思議なもので、細い線、重ねられた色、ぼかしなどの手法のせいなのか、はたまた画材のおかげなのか、奥行き深くしっとりとした質感。これは紛れもなく浮世絵の系譜に連なるものだと納得してしまった。フランスのお方が日本の文化や芸術をここまで理解し高めてくれただなんて、うれしいじゃないですか。
ホント、新版画の世界って、深いですね。展示が総入れ替えとなる後期も楽しみです。
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追記1:落款印がいろいろあって楽しい。梟とか桃とか壺とか。スマホにメモしておいたけど、図録に「ジャクレーの印章」として紹介があった。いつか自身の落款印を作りたいと思っているので、参考にしよう。ラッキー!
追記2:毎年秋に軽井沢町追分宿郷土館にてポール・ジャクレーの展覧会が開催されており、今年は版木も展示されるかもしれないとのこと、日野原さんから教えていただきました。
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ランチは、美術館に近いBUTTER MILK CHANNEL 原宿にて、フライドチキン&ワッフルのランチを。フライドチキンは、衣サクサクの上をいくガリガリ揚げ、熱々で美味。チーズ味のパンケーキはカリッと。メープルシロップとバルサミコのソースが付いてきたけど、これは好みの味ではなかったです。それぞれは好きだけど、混ぜるのは??ニューヨークの人々はこういう味になじみがあるんだろうか?添えられたキャベツの千切りはフレンチドレッシングで和えてあるけど、もう少し野菜の種類が欲しかったかな。デザートにミニのピーカンパイサンデーを。ピーカンパイは歯のかぶせ物が取れそうなほど強力なネチネチ具合。上にのってたアイスは普通。でも好きなピーカンナッツが楽しめたのでよかった。
梅雨の晴れ間、一気に気温が上がった表参道を少し散策して帰宅。