trivial days

よしなし‐ごと【由無し事】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

[雑記]夏休みの最終日に

家人の夏休み最終日にOAZO丸善に行ってきた。細々とした文具を買い求め、ぶらぶらと書棚を見て回り、それぞれが気に入った本を買う。ささやかだけれども心豊かになる。

大丸で甘い物を買い求めて、帰途につこうと東京駅構内に入ったら、混雑を10倍にしたくらいの人・人・人。静岡ー三島間の豪雨で新幹線が止まっていたのだ。新幹線は前日も麻痺していたから、ようやくという人も多かったろう。暑い中いつ動くかわからぬ列車を待つ人々が本当に気の毒に思えた。

地元に戻って、自家製麺が売りのラーメン屋さんで食事して帰宅。

[美味しいもの]中里菓子店の揚最中と南蛮焼、と「あんこの本」

東京駅の大丸は駅直結なせいか、地下1階の食品売り場はお弁当を扱う店舗が多く、洋菓子や和菓子の店は少ないようだ。そんな中見つけたのは、駒込に本店がある「中里菓子店」。以前、この本で知りいつか行きたいと思っていたお店だ。

記事で紹介されている「ぶどう餅」は残念ながら販売期間外だったけれど、揚最中と南蛮焼のセットを買い求めた。南蛮焼はもっちりした黒糖味の皮に小倉あんが挟んであるもので、どら焼きのようでどら焼きでない、皮とあんこが一体となってそのハーモニーがとても美味しい一品。おすすめ。ぶどう餅が販売され始めたらまた来ようと思う。

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さて、この「あんこの本」。私が買い求めたのは文庫になる前、2010年に京阪神エルマガジン社から発行されていた雑誌サイズのもの(そして文庫のほうも持っている)。筆者のあんこ愛が伝わってきて、どれも食べてみたくなる。当時から取り上げられているお店を訪ね歩き、大阪、京都、奈良、滋賀、東京、は数店を除いてほとんど行ったのだけれど、当時で既に閉店してしまっていたお店もある。東北地方のお店には全然行けていない。今でこそあんこや和菓子をテーマにした本/雑誌はたくさんあるけれど、そのブームのきっかけはこの本ではないかと密かに思っている。

[美術館]サムライのおしゃれ@静嘉堂文庫美術館(と、うな玉丼のランチ)

丸の内に静嘉堂文庫美術館ができていて、国宝も展示されている!と知って、しかも、駅から地上に出ることなしに行ける!という、今回も不甲斐ない気持ちで「サムライのおしゃれ」展に行ってきた。

結果、大満足。サブタイトルに「印籠・刀装具・風俗画」とあり、前者ふたつは詳しくはないのだけれど、贅を尽くした精密な技巧にうっとり。。。風俗画部門は、江戸は「江戸名所図屏風」、京都は「四条河原遊楽図屏風」とが並んで展示してあり、それぞれのパーツ(人物や場面)のサイズが大きいので、そこで何が行われているのか、着物の柄や身につけている装身具なども肉眼でわかり、じっくり見入ってしまった。重文の密陀絵屏風を見られたのも貴重な体験。サービス的な展示なのか、国宝、曜変天目茶碗にも対面できてよかった。ちなみに、美術館の内装もすばらしくて一見の価値あり。国宝7件、重要文化財84件を有しているとのことなので、今後の展示が楽しみ。次回の「あの世の探検―地獄の十王勢ぞろい―」も楽しそう。

ランチに、同じビルの地下にある鶏屋さんでうな玉丼。店員さんの言葉遣いが丁寧で感じよく、この界隈で働く人々が主な客なのだろう、気持ちよく食事を済ませて帰宅。

(2023年7月下旬訪問)

 

[雑記]札幌→東京、引っ越しの記録 その1

家人に転勤の命がくだされたのは2月の最後の日。夏の快適さを享受し、雪の暮らしにもすっかり慣れ、Columbiaの冬靴を新調したばかりだった身にその知らせはあまりにもショックなものだった。

転勤が決まったら、やることは多い。引っ越し屋さんの手配、諸手続、様々なスケジュールの調整、不要品の処分(普段からやっとけよって話なんだけど)などなど。とりわけ今回は、ハイシーズンだったため、住まい探しはかなり難航した。まず、都内には、3LDK以上のファミリー向け物件が少ない。ペット可、駐車場あり、となるとその数はぐっと減る。リノベに入る物件も多く、入居は5月中旬以降という。

そんな中、すぐに入居できるという今の住まいが決まったのは3月末。それからは、液晶テレビを足の上に落として左足小指を骨折するというアクシデントを除いてはとんとん拍子に進み、4月の中旬には今の住まいでの暮らしがスタートできたのは、スムーズだったと今にして思う。

とは言え、札幌から東京への移動は大変だったんですよー。何しろ、おいぬを連れて東京まで行かねばならないのだ。繁忙期ゆえ引っ越し屋さんのスケジュールもタイトで、前日夜から荷詰め開始、当日も荷詰めしながらの搬出、昼過ぎにマンション管理会社の立ち会い、鍵を返却して、そこから車で苫小牧フェリーターミナルに移動。家人は東京での仕事がスタートしていたから、当日朝札幌に来て、おいぬと私を車で苫小牧まで送り、千歳にとって返して東京に戻る、というハードスケジュールなんである。

おいぬと一緒に過ごせる船室での移動、という人生初の経験は、引っ越しでなければもっと楽しめたはず。何しろこちらはずっと忙しくて疲れもピーク、ようやく荷出しを終えてほっとしたところだったので、船室という慣れない環境でも熟睡でありました。おいぬは、時々デッキのドッグランに連れて行って気分転換。なんで自分がこんなところに連れてこられているか訳わかってなかったと思うけど、おりこうさんにしててくれたので、本当に助かりました。

日の出はあいにくの黄砂でぼんやりした太陽だったけど、船上で迎える朝、海を眺めながらの朝風呂は、なかなかなものでした。この日は10時頃から船が揺れ始め、大洗到着までの長かったこと。案内があって車に戻り下船。おいぬがいち早く迎えに来ていた家人を見つけ無事合流。ここに至ってようやく家族揃っての本州上陸を果たしたのである。

大洗から都心に向かう車窓からの眺めは、北海道とはまったく異なる。懐かしさもあるけれど、あぁここでの暮らしが始まるのか、、、と期待はまったく膨らまず、ため息ばかりついていたっけ。今に至ってもなお札幌での暮らしが懐かしい。札幌へ戻りたい。。。

[わんことおでかけ]夏の軽井沢旅行

7月の三連休を利用して、軽井沢に出かけてきた。

前回の軽井沢旅行は2019年で、この時と大きく違うのは今回はおいぬと一緒ってこと。宿はペットOK、レストランもペット同伴OKという粋な計らいをしてくれるところで、フルコースのディナーも朝食もおいぬと一緒に過ごせたのがよかった。おいぬの面倒を見ながらの食事でなんだか忙しなかったけど、部屋で留守番させてるよりずっといい。

日中は37~38度という暑さだったので、観光はほどほどに、白糸の滝で涼を取り、旧軽銀座をぶらついて、ツルヤで買い物をしておしまい。当然のことながら、行きも帰りも、軽井沢内でも、とにかくどこもひどい渋滞、3年ほど札幌で渋滞とは無縁の生活をしていたので、あぁまたこういう生活に戻ったのだなと、なんだかがっくり。

前回の旅行は9月だったこともあって、旧軽銀座は営業を終了しているお店も多く、なんだか寂れた感じがあったけれど、今回はすごく賑わっていてびっくり。キャラクターグッズを扱うお店や新しい飲食店が増えていたけど、以前からのお店ががんばってくれているのには再会のうれしさがある。そうそう、ちもとでいただいたミルク金時は絶品でした。これだけ暑いと、ソフトクリームよりかき氷だね。

お土産はツルヤで全部揃うことは学習済みなので、家人とおいぬには車で待っていてもらい、果物やソーセージ、ヨーグルトやディップソース、おやき、などなど、信州っぽいものを買いそろえて帰宅。

夕食は横川SAで買い求めた峠の釜めし。内容もお味も以前のままで美味しい!小さな容器にきちきちと詰められたお漬物もうれしい♪今の住まいはガスレンジなので、この小さなお釜を使ってそのうちお米を炊いてみようと思う。

[美術館]甲斐荘楠音の全貌@東京ステーションギャラリー(と、東京ナポリタン/ほろ苦プリン)

最高気温が36度を軽々超えたある日、東京ステーションギャラリーで、「甲斐荘楠音の全貌 絵画、演劇、映画を越境する個性」を観てきた。

正直、東京駅なら外を殆ど歩かずに行けるぞ、という横着心で行くことにしたのだけど、甲斐荘の才能にしてやられました。その幅の広さは、サブタイトルの「絵画、演劇、映画を越境する個性」の通り。

日本画家としての作品は見応えがあり、下絵と両方が展示してあるのも面白い。文楽、歌舞伎など、古典芸能を題材にした作品もちらほら。甲斐荘が考証・提案した映画衣装はすばらしく、その映像が一部流れていたけど、この時代の日本映画すごい。今の日本映画界はこれだけの作品が作れるのだろうか?とまで思った。『雨月物語』は以前観たけど、もう一度衣装に注目して鑑賞しなくては。そして圧巻は、最後の展示室、未完の大作『畜生塚』。未完だけどすごい迫力。最後の最後にこれくるかー、ってなりました。図録、欲しかったけど、お値段高く断念。

そうそう、この日、おばさん4人組がいて、あちゃーってなったんだけど、展示室スタッフがおしゃべりを注意して、その後静かになったので、よかったよかった。でも、その後ヒールの靴でいらしてたおばさまがいてカッカッコツコツ(-_-)。。。こういう場所に来慣れないんでしょうなぁ。。。

ランチに極太もちもち麺に濃厚トマトソースの東京ナポリタンと称するものをいただいた。お店の殆どの方がこれを頼んでたな。デザートにほろ苦プリンに2種類のアイスクリームが添えられてるのを。しっかりほろ苦なカラメルソースが小さい容器にたっぷり付いてきて、甘さ控えめのプリンにちょうどいい感じ。添えられたアイスはカラメルソースとけんかしないあっさり味で、こういうのは味の組み合わせ、バランスが大事だよね。このアイスが例えばハーゲンダッツとかじゃ、多分こってり過ぎた。

帰宅してから甲斐荘楠音の余韻に浸りつつ、映画『旗本退屈男』をYouTubeで鑑賞するなど。あ、あとね、この時代にSNSがあったら、甲斐荘さん、ゼッタイやってるね。解説にも触れられていたけど、すごく話題になったと思うな。

[美術館]小林古径と速水御舟@山種美術館(と、Cafe 椿)

恵比寿駅からゆるい坂道をえっちらおっちら歩いて山種美術館に行ってきた。

お目当ては小林古径の《清姫》の全8面。 やはり、8面を通して見ると、迫力あるなー。線書きの「旅立」、この静かな感じが逆にコワイ、から始まって、「寝所」寝入る安珍に見入る清姫、これから安珍に忍び寄るのだろうか!?、静寂な空気に包まれる「熊野」、「清姫安珍を追う清姫、この時は顔を半分こちら側に向けているし、この時はまだ着物の裾から足が見えてる、わっせっわっせっ、って感じ。「川岸」逃げる安珍、イケメンだけど薄情なヤツにしか見えない、「日高川」この面の清姫は横顔、安珍を追うその必死さが伝わってくる、髪の毛の一本一本の描写がすごい。空を飛ぶひゅ~~って音が聞こえてきそう。そしてついに「鐘巻」。清姫は蛇体となり鐘の中の安珍を、、、清姫の目がギラギラしてて、もう逝っちゃってます。口から吐き出される炎というか、熱波というか、がリアルすぎる。そして最後の「入相桜」、ここでクールダウン、なんとはなしに救われます。やはりこれは8面揃って鑑賞したいですね。安珍清姫は、能、歌舞伎のみならず、舞踊や演歌など、いろいろなシーンの題材になっているけど、私にとってはやっぱり文楽日高川入相花王」です。

この日、お客さん多くて、古径&御舟でファンが多いのかな?それはいいとして、おばちゃんグループはどうして騒がしいんですかね?お連れさん同士で聞こえる位の声で話すこと、出来ないんでしょうか???

やれやれ、と思いつつ、併設のCafe 椿で、季節のにゅうめんと展覧会にちなんだ和菓子から「はすはな」をいただく。季節のにゅうめん、何が「季節」かな?と楽しみにしていたら、鮎の甘露煮、じゅんさい、生麩は緑のモミジ葉が乗ってた。このセンス、素敵だな~。そして、和菓子もとても美味しくて、美術館を後にする頃にはすっかりご機嫌に。すごいね、美味しい物を食べるその効果。終わりよければ全てよし、です。