trivial days

よしなし‐ごと【由無し事】つまらないこと。益のないこと。たわいもないこと。とりとめもないこと。

[雑記]街の中華料理屋さん

6月のとある休日、近所の中華料理屋さんにお昼を食べに行った。

中華料理屋と行っても、本格的な四川とか広東とかの中華料理を提供するお店じゃなくって、ラーメン屋さんでもなくって、麺類から炒飯、餃子に一品料理など、気軽になんでも楽しめるお店である。いわゆる、街中華、ってお店?いつからこの言葉が使われるようになったか不明だけど、言い得て妙だと思う。

お店のたたずまいがいい。赤い看板に黄色い文字で店名が書いてある、ずっと以前から使われているような暖簾。扉を開けると、中華鍋があおられているカタンカタンという音が響いている。ラードを炒めたときのよい匂いがただよってくる(空腹が刺激される!)。料理名が短冊に書かれてて、壁にずらっと貼られている。値段のところに紙を貼り付けて、金額が訂正してある。テーブルは少し色褪せた朱色で、注文した料理は次々と揃う。常連さんは迷うことなく料理を注文して、さっと食べてさっと出て行く。外には待ってるお客さんがいたけど、回転速いからそれほど待たなくてよさそう。そして、なんてったって、美味しい、そして安い!

こんなお店が近所にある幸せを声を大にして伝えたい。

[美術館]琳派のやきもの@出光美術館(と、甘味おかめ)

有楽町の出光美術館に、「琳派のやきもの」の展覧会を見に行った。

今年は尾形乾山生誕360年にあたるらしい。乾山の作品は、まさしく芸術作品!ってのから、これうちの食卓で使いたい!というような親しみ持てる作品まで幅広い。書もすばらしくて、兄光琳との合作など、見所満載、私の好物満載な展覧会であった。来年1月に予定されている本阿弥光悦の特別展では、琳派の源流を観ることが出来そうなので、今のうちになるたけ琳派の作品を観ておきたい。

美術館を出てエシレでサブレなどを買い求め、イトシアの甘味おかめに移動してお赤飯とおでんのセットを食べた。ここのものは何を食べても美味しいなぁ。おでんのお出汁が美味しいので飲み干してしまった!歩いて汗をかいたので、塩分補給になるかな。そこそこ満腹になってしまったので、あんみつはまた今度。ただこのお店、椅子に背もたれがないのよね。壁際の席だとよかったんだけど、ほ~っと乾山の余韻に浸れんかったのが残念。

ところで、有楽町駅を出てすぐ、ビックカメラの向かいに行きも帰りも行列のレストランがあった。気になるね(でも多分入ることはないと思う)。

[美術館]特別展「鴎外の食」@森鴎外記念館(と谷中散歩)

千駄木森鴎外記念館で、特別展「鴎外の食」を観てきた。

鴎外の食に関して、大変充実した展示で、鴎外の食の好みや森家の食卓の様子、当時の食料事情や外食事情、それらを通して鴎外の人柄まで伝わってきた。鴎外自身は粗食を好んだそうで、解説には美食家ではなかったとのことだけど、そこはやはりハイソな家庭、年に数回は家族を高級レストランや料亭に連れて行き、コース料理を楽しんだそう。が、やはり心を打つのが、最後の遺言書の文言。「余ハ石見人森林太郎トシテ死セント欲ス」。どんな高い身分にあっても、鴎外はいつも一人の人間として生活していたんだろうな。

展示のみならず、記念館の建物、お庭もすばらしい。区立でこんなに立派な記念館があるなんて、東京ってほんとうらやましい。それにこのあたりを鴎外やその時代の文豪たちが歩いてたかと思うと、歴史を感じます。

鑑賞後、併設のモリキネカフェでランチ。このネーミング、イイネ!ここでモリキネプレートをいただく。温められたプレッツェルにコンビーフやソーセージのスライスがよく合う。添えられたピクルスで気分がスッキリするのもまたいい。欲を言えば一切れのチーズがあれば文句なしだったな。いや、それって、ワインが欲しくなるね。いずれにせよ、素敵な組み合わせのプレートでした。

デザートに期間限定のケーキ、「リンタロウル」(これも洒落たネーミング!)をいただく。鴎外が好んだ果物の甘煮が使ってあって、いいね、こういうの。

記念館を出て、谷中方面をぶらぶら。創業100年の佃煮屋さんでお茶漬け昆布などを買い求めて帰宅。

[映画]『別れる決心』2023年/韓国

Amazon Primeで『別れる決心』を観た。

出だしで、ああこれは苦手なヤツや・・・とわかってしまったけど、あさイチの「特選!エンタ」で取り上げられてたのと、カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したというので、頑張って最後まで観た。

謎が謎のまま話が続くし、ストーリーに関係のない小物がやたらと登場するし、画面が頻繁に変わるし、noisyというかbusyというか。美味しそうな寿司弁当とか、アメリカンドッグとか、スッポンとか、あとでつながってくるのかと思ったけど、そうでもなかったし、ああいうのって何か意味があるんだろうか?こういうシーンが撮りたかった!というのをつなぎ合わせてそれに合うストーリーにしたんじゃないかとさえ、疑ってしまった。

すっかり置いてけぼりになったので、刑事役の俳優を日本人に置き換えたら誰になるかなと思い巡らせていた。堤真一中井貴一佐々木蔵之介???眞島秀和もいいなー(←単なる好み)。

でも、二人でデートに行くお寺とか、最後の海岸なんかは美しくて、行ってみたくなった。

余談だけど、ソレを演じたタン・ウェイさん、『ラスト・コーション』に出てた人と後で知ってびっくり。あれは衝撃作だったなー。うん、あの作品はすごかった。。。

[映画]『先生、私の隣に座っていただけませんか?』2021年/日本

Amazon primeで『先生、私の隣に座っていただけませんか?』を見た。

序盤、何のセリフも説明もないのに、登場人物3名の関係性が見えてくる。ちょっとした視線や行動にそれが現れているから、画面から目が離せない。上手いなー。

実写の中にコミックが上手く取り込まれていて、どこまでがリアルでどこまでがコミック上の話なのか。主人公演じる黒木華さんの本当の気持ちは?なかなかに見せてくれる。

俳優さんたちそれぞれが役に合っていて、そのフィット感が本当にそこに居る人たちのよう。何と言っても風吹ジュンさんのお母さんが素晴らしい!皆をごく自然に受け入れ誰も責めない。他の4人の登場人物を下支えしている印象。金子大地さんの透明感も良い。まるで妖精さんのよう。奈緒さんの編集者魂を炸裂させるところ、柄本佑さんの狼狽えぶりが笑いを誘う。黒木華さんは、セリフの間とか、ほんのわずかの表情の動きで感情を表現できてて、ニュアンス女優?だと思う。

エンディングはそう来たか!だけど、三方よしならぬ、それぞれ落ち着きどこがあってよかった。そしてお母さんは変わらずあの場所で彼ら/彼女たちを見守っていくんだろうな。日本映画では久々の私にとってのヒット作。

[雑記]KINBI ni cojicaの閉店

北海道近代美術館のカフェ、KINBI ni cojicaが閉店してしまった。

近代美術館は、札幌在住時の住まいのすぐ近くで、カフェは美術館の2階にあった。大きなガラス窓からは庭が眺められ、壁には美術作品が。店内はゆったりとした配置で、ホッとする空間だったのだ。

あまりにも近所なため、お出かけ気分はあまりなかったけれど、それでも、徒歩数分でこういう素敵なカフェがあるのは幸せのひとつだった。ここの看板メニューのひとつNICO SANDOはもちろん、キッシュや焼き菓子、チーズケーキなど、何を食べても美味しかった。

閉店してしまった事情はわからないけれど、また別のお店が入るのだろうか?美術鑑賞の後はカフェで一息、そこで余韻に浸るのも私にとっては美術展に足を運ぶ楽しみの一つでもある。近代美術館は、北海道の数少ない美術館のひとつ、そこにはやっぱりくつろげるカフェがあって欲しいな。

[美術館]ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画@太田記念美術館

太田記念美術館に、ポール・ジャクレーの展覧会を見に行った。

たまたま、学芸員の日野原健司さんによるスライド・トークが行われる日だったので、開始時間に間に合うように自宅を出発。

日野原さんはまず始めに、ジャクレーの大規模な回顧展は、地方開催や小規模なものを除くと20年前に横浜で開催されたのが最後であり、それを見た人はジャクレーを知っているが、そうでなければ、大多数の人がその名を知らないのではないかと仰った。

その通りで私は後者。「新版画」というジャンルは、2018年の夏に見た新版画展 美しき日本の風景@美術館「えき」KYOTOで初めて知ったのだけれど、それがなければ今回の展覧会に足を運ぶこともジャクレーを知ることもなかった。つくづく出会いだなあと思う。

印象に残ったのは、色彩の鮮やかさ、技巧の細やかさ、コスト度外視の贅沢な画材と手間、独特の視点による画題、自身が版元となって独自の販路を持ったことなど、いろいろあるが、あまりにも見所が多くて、会場を何周も回ってしまった。

色彩や画題は江戸期の浮世絵とは大きく異なっているけど、木版画とは不思議なもので、細い線、重ねられた色、ぼかしなどの手法のせいなのか、はたまた画材のおかげなのか、奥行き深くしっとりとした質感。これは紛れもなく浮世絵の系譜に連なるものだと納得してしまった。フランスのお方が日本の文化や芸術をここまで理解し高めてくれただなんて、うれしいじゃないですか。

ホント、新版画の世界って、深いですね。展示が総入れ替えとなる後期も楽しみです。

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追記1:落款印がいろいろあって楽しい。梟とか桃とか壺とか。スマホにメモしておいたけど、図録に「ジャクレーの印章」として紹介があった。いつか自身の落款印を作りたいと思っているので、参考にしよう。ラッキー!

追記2:毎年秋に軽井沢町追分宿郷土館にてポール・ジャクレーの展覧会が開催されており、今年は版木も展示されるかもしれないとのこと、日野原さんから教えていただきました。

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ランチは、美術館に近いBUTTER MILK CHANNEL 原宿にて、フライドチキン&ワッフルのランチを。フライドチキンは、衣サクサクの上をいくガリガリ揚げ、熱々で美味。チーズ味のパンケーキはカリッと。メープルシロップバルサミコのソースが付いてきたけど、これは好みの味ではなかったです。それぞれは好きだけど、混ぜるのは??ニューヨークの人々はこういう味になじみがあるんだろうか?添えられたキャベツの千切りはフレンチドレッシングで和えてあるけど、もう少し野菜の種類が欲しかったかな。デザートにミニのピーカンパイサンデーを。ピーカンパイは歯のかぶせ物が取れそうなほど強力なネチネチ具合。上にのってたアイスは普通。でも好きなピーカンナッツが楽しめたのでよかった。

梅雨の晴れ間、一気に気温が上がった表参道を少し散策して帰宅。